母学トークアインシュタインの逆オメガ1

赤ちゃんを知る。そして母になる。

第三回母学会議 赤ちゃんにやさしい街づくり

アインシュタインの逆オメガ〜脳の進化から教育を考える〜

講演
小泉英明
(株式会社日立製作所名誉フェロー 公益社団法人日本工学アカデミー上級副会長)

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ただいまご紹介にあずかりました小泉でございます。 今日はお忙しいところ、皆さま、ありがとうございます。 難しい話はいたしませんので、どうぞリラックスしてお 聞きになってください。今日、頂戴いたしました演題で すけれども、ここにありますように「アインシュタインの逆オメガ、脳の進化から教育を考える」という題を頂 戴しました。次、お願いします。

皆さま、アインシュタインという名前はよく聞かれると思うんですけれども、実はアインシュタインはよく天 才と言われてきたわけですけれども、じゃあ、天才の脳 がどんな形になっているかなというのは、昔からたくさ んの人が興味を持ってきたんです。ところが、アインシュタインはキーストン大学にいましたけれども、彼が亡くなったときに脳は解剖されたんです。

ところが、小さな切片としては世界中に配られて研究が進んだんですが、全体像がどうだったか、その写真が実はなくなってしまったんです。その写真というのは随分たくさんの人がその後も探したんですけれども、ずっと見つからなかったんです。その写真が本当に数年前になって見つかったんです。アインシュタインの脳というのは実際どうだったかというのが、だんだん概要が今、分かり始めている。そういうことでお話をしたいと思います。

これは東京藝術大学でもお話をさせていただいたので、音楽に関係付けているんですけれども、アインシュタインはバイオリンが大好きだったんです。いろいろな所で演奏して、割と人に聴かせるのが好きだったみたいで、有名な方ですから著名なピアニストとも一緒に共演したりしているんですが、残っている記録はあまり芳しくない。

今、YouTubeに上がっているんですけれども、ゆっくりした曲でモーツアルトの『バイオリンソナタ』なんで すけれども、皆さまもお帰りになってチェックすると、アインシュタインの演奏がたくさん出ています。私は最 初にこれを聴いたときに、これは素晴らしい演奏で、素人が弾ける内容ではない。ただし、すごく遅いんです。優しいようにみえる曲で、しかも途中でテンポが揺れたりしていて、素人が演奏したみたいにみえるんです。

自分でずっと調べたんです。当時の SP、記録がない かと思ってずっと調べたらとうとう行き当たりまして、 ここに書きましたが、カール・フレッシュという大バイ オリニストなんですけれども、その人の SP 盤が今でも ありますけれども、それを誰かが YouTube に上げたんです。

アインシュタインの演奏だといって、いわゆる最近は やりの言葉ですけれども、Post-truth というのがあるん です。後付けの真実というのが世界中でよく言われるん ですが、まさにそうなってしまって、こういう間違った ものが情報の世界というのは、たやすく世界中に流布さ れちゃう。そこのところは、われわれは気を付けなくて はいけないというふうに感じている1つの例であります

肝心なアインシュタインの脳の写 真が新しく見つかって、何が違っていたか。そしたら、左右の脳をつなぐ神経線維の数が多い。こういうことが、まず非常に目立ったこととして分かりました。ですから、これはまだ想像の範囲ですけれども、右と左の脳を盛ん に両方同時に、お互いに情報を通信し合いながら使っていたろうということは、1つ想像に難くないわけです。

実際に繊維というのは若い人と比べても、アインシュタインは随分、年を取って死にましたけれども、そのときの脳のほうがかなり繊維の束が太いんです。その辺りが今、研究されています。

それからもう一つ、それより前に注目されたのが、アインシュタインの逆オメガという、これは先ほど申しましたアインシュタインの新たに発見された写真なんですけれども、この部分にちょうどオメガを反対側にした、こういうようなギリシャ語のオメガの逆のオメガの形が見つかったんです。

ここだけが普通の脳の写真とかなり違っていて、たくさんの研究者が注目したわけです。これはアインシュタインの天才の証しかもしれない。ところが、何のことはない。小さいときからバイオリンを始めると、ここの部分が大きくなるということが既に分かっているんです。

左の指に関するところです。左の指、バイオリンの場合は左で非常に速い演奏をしたりしますけれども、そこに関係する運動を指令するところ、それから、指先の感触を細かに感じるところが、肥大化してはみ出しているということが分かったので、アインシュタインの天才とはどうも関係なさそうだと。

ですから、バイオリンの場合ですと、今は通常3歳から(場合によっては2歳半から)始めるんですけれども、3歳ぐらいから5歳ぐらいの間にそこの領野、脳のそういう働きをする場所を特殊に育てるには、そういうような時期に始めることがどうしても必要だということです。ただ、あくまでもこれは特殊なものです。