母学トークアインシュタインの逆オメガ2

赤ちゃんを知る。そして母になる。

第三回母学会議 赤ちゃんにやさしい街づくり

アインシュタインの逆オメガ〜脳の進化から教育を考える〜

講演
小泉英明
(株式会社日立製作所名誉フェロー 公益社団法人日本工学アカデミー上級副会長)

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次、お願いします。ところが、一見なさそうなんですが、よく考えてみるとこれはもしかすると、かなり重要なことを表しているかもしれない。そういうことが最近、分かってきたわけです。

これは1992年ですから随分昔なんですけれども、私たちが初めて撮った画像なんですけれども、私たちが左手をこうやってタッピングというんですけれども、これをやったときに脳のどこが動くかと。バイオリンでやるときの弦を押さえるのとちょっと近いんですけれども、そのときにたまたま撮っていた画像がありまして、その画像がこの画像のこの部分です。

これは皆さまよく聞かれると思いますが、前頭葉と頭頂葉と呼びますけれども、前のほうの脳と後ろの脳を分ける所、そこのちょうど亀裂のような所です。そこの前側が運動をつかさどって、後ろ側が感触をつかさどっています。人間の脳というのは全部、責任分担が違っていまして、それをはめ込むと小人を引き延ばしたみたいものになります。

つまり、手の指というのは分解能の高い必要性がありますから、かなり広い所に分布しているんです。それから、口も言葉を話したり、舌は動かしながらも絶対に食事のときに舌は普通かみませんよね。ものすごく素早い動きをしているんです。それの指令のために、大変広い領野を持っています。

こういうふうに細かいことをやったり、俊敏な正確な 動作をやったりするには脳の分解能が必要ですから、そ このところが育っていくんです。特に小さいときにやると、そこが大きく育っていることが分かってきています。

次、お願いします。さらにこれは細かく調べたもので、 私もこのデータに入っているんですけれども、実際に生 きている私たちの舌の部分です。それから、足の指の部分、手の指の部分、これを触ったときに脳のそれぞれ対 応する場所が動くということをやったんですけれども、この方法でやったのは世界で初めてです。

次のほうお願いします。こういうお話をしたきっかけは、今、東京藝術大学の学長の澤先生というのはバイオリニストなんです。東京藝術大学でこれから世界的なバイオリニストを育てようと考えて、最初のスタートポイントとして、やはり小さいときから教育しないと駄目だとお考えになっているんです。その裏付けを私のほうで用意しました。

ただ、気を付けなくちゃいけないのは、早教育というのが常にいいとは限らない。これはいつも気を付けていないといけない大事なポイントです。ただ、楽器のような、バイオリンというのは非常に特殊で、バイオリンの場合は普通の人間の運動能力では演奏できないんです。分解能が細かすぎちゃうんです。ですから、小さいときから特殊な脳を作らなくてはいけない。

ですから、そういう必要な方たちもおられますけれども、多くの人たちが特殊な脳を作る必要はないと、ここのところは大事なところです。幾つかのデータがありまして、このデータもそうなんですけれども、次もお願いします。

ですから、バイオリンの場合ですと、今は3歳から始めるんですけれども、3歳ぐらいから5歳ぐらいの間に そこの領野、領域というか、脳のそういう働きをする場 所を特殊に育てるには、そういうような時期がどうしても必要だということです。ただ、あくまでもこれは特殊なものです。

今日、これは論文そのものですから細かいお話はいたしませんけれども、今お話しした左手の小指の俊敏な正確な動作をつかさどる脳の場所というのは、大きくなってから訓練をしても大きくならないということがはっきりしています。