母学トーク 子育てにおける躾とは5

赤ちゃんを知る。そして母になる。

第三回母学会議 赤ちゃんにやさしい街づくり

子育てにおける躾とは

講演
仁志田博司
(東京女子医科大学名誉教授)

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この赤ちゃんは生まれて10分なんです。生まれて10分で髪の毛がぬれていますよね。あれはお風呂に入った んじゃなくて羊水で濡れているんです。この目を見てください。皆さんの顔をじっと見ているでしょ? だから 人間というのは、既に赤ちゃんとして生まれたときからものすごい才能を持っているんです。胎児を超 音波でいろいろ見ましたら、おなかの中で、いろんなことをやっています。ですから、もう生まれたときに、既 に私たちが持っている能力の8割以上を赤ちゃんは持っているんです。それを、どう伸ばしていくかが大切です。 繰り返しとして言いますが、赤ちゃんがもともと持っている素晴らしい能力を引き出すためには、しつけのよう なものではなく、抱きしめて、言葉を掛けてください。

ですから僕は、外来でお母さん方に話すのは、特に3歳ぐらいは恐ろしき3歳という言葉があるように、本当に今まであんなにいい子だったのに、突然嫌々が始まって物を投げたりしますよね。ちょっとぐらい障子を破ったって物を壊したって、それは怒らないほうがいいです。どうしても怒んなきゃいけないのは2つだけとお母さんに言うんですが、一つは、上の子どもが下の子どもを踏みつけてしまったり固いものでたたいたり、そういうことは絶対しちゃいけないときびしき叱るのです。それからもう一つは、危ないこと。例えば包丁とか刃物とかで遊んでいたり、それからマンションのベランダや階段などの非常に危ない所で遊んでいるとき、絶対二度としちゃいけないと、きつく怒るんです。それぐらいです。あとは、あんまり怒らないことです。だからしつけというのは訓練とかそういうものじゃなくて、先ほど言ったように、これから子どもが社会に出るにおいて、これだけは絶対いけないということだけです。本当に育児という大きな枠の中の、ほんの点の部分がキチンと躾しなければならないのですから、そういうところだけをきちんと教えるのが躾だということです。

「三つ子の教え百までも」という諺がありますが、この3歳というのが数えの2歳なんですけれども、本当に反抗期なんです。なぜ反抗するかというと、自我が芽生えるんです。子供が今まではお母さんやお父さんの言うとおりだったのが、今度は自分がなんかできると思って自分でしようと嫌々するんです。それは大切なことなんです。嫌々時期があってからこそ自我が芽生え、いろいろのことに興味を持つのです。あんまり怒らない。いいですか。その頃が本当に大変なんです。だからこそフランス語で3歳の頃を「アンファンテリブル:恐ろしき3歳」 というんです。1年か1年半すれば良い子に戻りますから。あんまり叱らないで抱きしめてください。じゃあちょ うど時間みたいなんで、どうもありがとうございました。