『母学』小林 登が母に伝えたいこと3

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「母学」小林 登が母に伝えたいこと。

講演
葛西康仁
(アップリカ育児研究所 クリエイティブディレクター)

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新「育児の原理」十二則

第一則

お母さんになるために……
妊娠する前にふうしん風疹予防をしてください。
妊娠に早く気づき、お腹の赤ちゃんに
十分な酸素がいきわたるためにも、
朝のきれい綺麗に透き通った風と光を
いっぱい吸ってください。
妊娠初期の三、四か月までは、
胎児にとって最も重要な時期です。

第二則

育児の原理は、愛情を伝えるお母さんと赤ちゃんの
目と目の対話「まなかい」です。
まだ言葉がわからない赤ちゃんに、
お母さんのやさしい目で話しかけてあげてください。
「まなかい」育児で
赤ちゃんに健やかな体とあたたかい心がはぐく育まれ、
母と子のきずな絆が強く結ばれます。

第三則

赤ちゃんの消化器を初めて通るものは、
お母さんのしょにゅう初乳であってほしいものです。
初乳にはめんえき免疫物質が多く含まれ、
細菌やウイルスの侵入から赤ちゃんを守ってくれます。
五か月までは母乳で育ててください。
母乳哺育で赤ちゃんとお母さんの五感を刺激する
「母子相互作用」が起こり、
お母さんには母性の確立が、
赤ちゃんには心と体の栄養が注がれます。

第四則

どうしても母乳をあげられないお母さんは、
人工栄養であったとしても、
強い信念と自信をもって、目と目の対話をしながら
「まなかい授乳」で育ててください。
お母さんの愛情が赤ちゃんに必ず届きます。
将来、集中力のある子どもを育てるには、
お母さんの笑顔が何よりであることを
心にきざんでほしいのです。

第五則

赤ちゃんがオッパイを飲んだあと泣いたら、
首の後ろを支えて立てて抱いてあげてください。
おなかの空気が外に出て楽になります。
くちびる唇でオッパイを探しながら泣くときは、
お腹がすいています。
二か月頃まで、あまり涙は出ません。
泣き声で赤ちゃんの気持ちをお母さんに伝えたいのです。
「赤ちゃんの声」を聞き分け、
いろいろな気持ちを受け止めてあげると
三か月もすれば、
今度はお母さんの笑顔を見て微笑みます。

第六則

ゼロ歳児、特に六か月までの赤ちゃんは、
お腹を圧迫しない平らな姿勢で、
あおむ仰向けに寝かせてあげてください。
そして赤ちゃんの足はカエルのようにまた股を広げて、
しかも両足は自由に動く状態にしてあげてください。
頭を揺さぶることは大変危険です。
赤ちゃんは大人の縮小版ではありません。
生きるための機能は未熟なのです。

第七則

ゼロ歳から一歳過ぎの赤ちゃんのしつけは
愛情を伝えるお母さんと赤ちゃんの
目と目の対話をしながら
「まなかい抱っこ」だけで十分です。
「どんぶらこ、どんぶらこ」と赤ちゃんを、
ゆっくり、ゆっくりあやします。
おだやかなお母さんの声や顔そして肌から、
赤ちゃんはあたたかい心を吸収していきます。
大切なのはお母さんが、
いつもゆったりと、かまえていることです。

第八則

心の傷跡が残りやすい
一歳半頃から二歳半頃のしつけは、
命令や否定ではなく、
「あなたならできるよね」と、根気よくお願いします。
自我の芽を大切にしてあげると、
子どものいろいろな能力が引き出され、伸ばされます。
この頃、自我の芽を抑えつけると反抗心となり、
いずれふくしゅう復讐しん心にかわることさえあります。
自己制御できるようになる四歳以降、
お友達の悩みや苦しみを
理解できるようになるためにも
二歳前後の心の育児はとても大切です。

第九則

自我が活発になってくる三歳前後は
「子どもの目に訴えるしつけ」を始めてください。
お母さんが子どもの目に
生活態度のお手本を見せてあげてください。
“ダメ” “いけません”の
言葉によるしつけは、まだ通じません。

第十則

三歳前後の子どもは
思った通りにできなくても、
繰り返しやることにより、
体の動かし方、手足の使い方を訓練しているのです。
それができると達成感を覚え、
さらに難しいことをやってみようとする
意欲が湧いてくるのです。
危なくなければ見守ってあげてください。

第十一則

四歳前後になってようやく、
“ダメ”“いけません”などの
「言葉によるしつけ」を始めてください。
どうしてダメといわれたのかがわかるようになり、
心や体を自分の意思でコントロールできます。
子どもが目標を達成したら
「よくできたね」と、一声かけてください。
お母さんの励ましが、
あらゆることに積極的に立ち向かうための
特効薬となります。

第十二則

子どもは無限の可能性をもっています。
その心と体を育む育児は子どもを抱きしめ、
心の底からのほおずりをするだけでよいのです。
子どもと一緒に過ごす時間の長さより、
お母さん、お父さん、保護者の方の
愛情の深さが大切です。
地球上で一人だけでも、いつも自分を理解し、
全面的に受け入れてもらえる人間がいることを
子どもに知らせることができればそれでいいのです。
それが大人の責任です。

新「育児の原理」あたたかい心を育てる
(角川ソフィア文庫 、赤ちゃん編・幼児編)より
内藤寿七郎著 小林登監修 アップリカ育児研究所 編