1 生命進化 40億年と 胎児(胎芽)の深い関係

第一回母学会議

2016年10月21日(金)丸ビルホール

マザープロジェクト

おまもりうた:「誕生」

脳科学から見た芸術と倫理

基調講演

小泉英明

パネルディスカッション

「母と子の芸術」

基調講演「脳科学からみた芸術と倫理」

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1 生命進化 40億年と 胎児(胎芽)の深い関係

何年か前に、ちょうど夏休みが始まるころ、突然、アメリカの友人 から「今、ガラパゴスにいる、良かったら来ないか、ダーウィンのビー グル号の軌跡をたどっている」と連絡がありました。それですぐに飛 行機に飛び乗り、タヒチのパペーテに降りました。ジェットボートで 迎えに来てくれまして、その友人所有の母船に乗り移りました。それ で、ダーウィンの軌跡をしばらく辿り、進化についていろいろと考え る機会を頂戴しました。赤ちゃんのことを考えていく上で大事なのが、 進化の視点だと考えております。たとえば、大昔の40億年ほど前です。 この頃、すでに母なる海が地球上に存在していたと考えられています。 そのうち35億年ほど前から藍藻という藻類が、浅い海にたくさん繁 殖いたしまして、それが10億年ほど前までに、この地球大気圏の酸 素を作りました。そのころの藍藻マットの化石(ストロマトライト) もたくさん残っています。これは、35億年前、その時代の藍藻の化 石です。それから、もう少し経って6億年前ぐらいになってきますと、

例えばネミアナという、非常に柔らかいイソギンチャクとかクラゲの ようなものが地球上の海に現れてきました。そして、カンブリア紀に 入りまして、カンブリア爆発が起こり、ありとあらゆる生命の基礎と なるような形態が現れてきました。これはそのころの、5億年前のカ ンブリア紀の三葉虫の化石であります。これがさらに時代が進みまし て、今から4億年ほど前のデボン紀に入りますと、お魚が現れて、三 葉虫はそのお魚に食べられてしまうものですから、このような非常に 精密な複眼を持ちました。捕食者から食べられないように、このよう にたくさんのトゲを出したり、渦を巻いた角を付けるという、このよ うな進化が進みました。さらに魚の一部は海から陸へ上がり、両生類 から爬虫類、そして哺乳類へと進化しました。肝心なのは、こういう 数十億年の変化を我々自身が宿しているということです。そして更に 大事なのは、赤ちゃんはこういう進化の経緯を経て、生まれてくると いうことです。このことは、サイエンスとしても最近段々はっきりし てきました。

5億年前のハイコウエラという化石が発見されています。これの生 きた化石といわれるのが、ナメクジウオです。この生きた化石のナメ クジウオを遺伝子解析してみると、遺伝子の総数が21,600個ありま す。人間の遺伝子は、一番新しいデータで約22,000個と報告されて いますから、ほとんど同じぐらいの数の遺伝子を持っています。5億 年ぐらい前のお魚ともいえないような、目もないような、このような ハイコウエラですが、分かったことは、約60%が人と共通している ということです。がっかりするようでもあるし、とても新しいことを 知った気分にもなります。つまり基本的な遺伝子は5億年前からずっ と受け継がれて、私たちの体の中にあるということです。

私は対数螺旋というのが大好きなのですが、南太平洋に生息してお りますオウムガイは2つに切ってみますとこのような対数螺旋という のが現れてきます(図1)。皆さまよくご存知の銀河系や、あるいは 台風も対数螺旋です。それから巻貝も、いろいろなものが対数螺旋を 示しています。これを、例えば3分の1や、6分の1に縮小してみます。 これはまったく同じ図を6分の1にしたものですが、これを見ますと、 一番大きな螺旋の中心部分と同じです。つまり、無限に同じ螺旋が続 いていきます。これが対数螺旋です。この上に、今までの生命の進化 を考えていきますと、先ほどお見せした化石の残っている古生代、中生代、新生代、そして現代に至るわけですが、その時に様々な進化が 起こりました。実は、赤ちゃんはお母様のお腹の中で、進化の過程を 経て生まれてくるわけです(図2)。これよりもう少し前の胎芽期を 拡大鏡でみますと、まさにお魚のエラ穴が現れる時代も人間にはあっ て、この時期はちょうど勾玉にそっくりです。赤ちゃんは、40億年 の長い進化の歴史を経て、今の時代へと生まれおちてくるわけです。 生命進化や遺伝子の視点から見ますと、赤ちゃんの見方が、今お話し たように少し違ってくるかもしれません。

私は対数螺旋というのが大好きなのですが、南太平洋に生息してお りますオウムガイは2つに切ってみますとこのような対数螺旋という のが現れてきます(図1)。皆さまよくご存知の銀河系や、あるいは 台風も対数螺旋です。それから巻貝も、いろいろなものが対数螺旋を 示しています。これを、例えば3分の1や、6分の1に縮小してみます。 これはまったく同じ図を6分の1にしたものですが、これを見ますと、 一番大きな螺旋の中心部分と同じです。つまり、無限に同じ螺旋が続 いていきます。これが対数螺旋です。この上に、今までの生命の進化 を考えていきますと、先ほどお見せした化石の残っている古生代、中生代、新生代、そして現代に至るわけですが、その時に様々な進化が 起こりました。実は、赤ちゃんはお母様のお腹の中で、進化の過程を 経て生まれてくるわけです(図2)。これよりもう少し前の胎芽期を 拡大鏡でみますと、まさにお魚のエラ穴が現れる時代も人間にはあっ て、この時期はちょうど勾玉にそっくりです。赤ちゃんは、40億年 の長い進化の歴史を経て、今の時代へと生まれおちてくるわけです。 生命進化や遺伝子の視点から見ますと、赤ちゃんの見方が、今お話し たように少し違ってくるかもしれません。